もはや「ガラパゴス」とも呼べない日本の高等教育

今日、日本では大きな政治の動きがありました。あまりにナンセンスなので、私としては自分でくだを巻くよりも、故いかりや長介さんにニュースの中継画面の端から出てきてもらって、「ダメだ、こりゃ」とひとこと言ってもらい、次のステップに進みたいと思います(来月の参議院選挙は、取り敢えずボストン日本領事館へ在外投票に行きます)。それでは少し物足りないと思う方は、二、三年前のものですが、あらためてコレでも見て、歌詞を拝聴してください。私の今言いたいことも、だいたい似たようなものですので。

http://www.youtube.com/watch?v=-tYi4cNhQZw

歌詞は、こちらで。

http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND70692/index.html


さて、先週MITで開催されたeラーニングとオープンエデュケーションに関する国際カンファレンス(「途上国におけるテクノロジーを利用した教育支援」がテーマ)に、主催者側(企画・実行委員)の一員として参加しました。

http://linc.mit.edu/linc2010/default.htm

世界中の途上国・新興国を中心に約40ヶ国から、大学のアドミニストレーターや教員、教育政策関係者などが200人ほど参加した、とても国際色豊かな素晴らしい集いでした。私が司会をした3つのセッションでは、なんと異なった15の国から15人の登壇者がありました。フィジー、ヨルダン、エジプト、アラブ首長国連邦、イスラエル、ナイジェリア、ボツワナ、トルコ、ルーマニア、中国、インド、パキスタン、アルゼンチン、マレーシアなど。皆、自分たちの国や機関における教育環境向上の取り組みについて発表していました。経済的にも人的資源にも恵まれない状況下で、テクノロジーをできるだけ安価に工夫して使うことで、できるだけ多くの学生たちや社会人が教育を受けられるように努力を重ねている彼らの発表を聞きながら、eラーニングやオープンエデュケーションについて日本の大学や高等教育界(文科行政も含めて)が取り組む姿勢は、これらのどの国よりも劣っているのではないか、とだんだん憂鬱な気持ちになりました。トルコでは、なんと国内の商法上の問題でiTunesやiTunes Uが使えないので、自分たちで似たようなウェブ上のプラットフォームを作り始めており、いくつもの大学が講義や教材を公開し始めているそうです。すごいバイタリティーで、発表を聞いていても、激しい情熱が伝わってきました。


世界のあちこちで皆、本当に頑張っているのです。国内で現状や将来に対する悲観論が広がっている(今日、またさらに広がりましたが)とはいえ、世界的にみれば、まだまだかなり恵まれている日本の高等教育は、本当にビジョンも統率力も実行力もないことを、海の向こうにいながら、ことある毎に思い知らされます。現在の日本の政治状況と、そう大差はありません。またしても、いかりや長介さんが出てきそうです。


様々な分野において日本を「ガラパゴス」と呼ぶことで、「独自性」や「特異性」も自己満足的に強調されるのかもしれませんが、少なくとも高等教育に限って言えば、生態系云々という以前に、既に島としてかなり水没しかかっており、「ガラパゴス」というよりは「ツバル」状態に見えます。ただし、ツバルの人たちは、自分たちのせいで島国が水没しかかっているのではありませんし、為す術もほとんどないので、ご同情に堪えないのですが...