教育的イノベーションは簡単ではない

一週間ほど前、ハーバード大学での会議のためにボストンを訪れていた前ジョージ・ルーカース教育財団理事長のDr. Milton Chenから連絡をもらい、一緒にランチをしながら旧交を温めました。彼は、スタンフォードで博士号を取った後、アメリカの公共放送ネットワークPBSで教育番組のプロデューサーを務めた後、ジョージ・ルーカスに見初められて同財団の初代理事長になった人です。


同氏は、NHKの主催している教育放送番組・教育メディアコンテスト「日本賞」を受賞され、同コンテストの審査員も務められたこともあります。私も一昨年、「教育放送番組コンテスト」から「教育メディアコンテスト」に生まれ変わった同賞の審査員をやらせていただいたので、「『マルチメディアやインターネットを使ったインタラクティブでノンリニアな教育メディア』と『一方向的でリニアな放送番組』のそれぞれの良さを並べて評価するのは難しいね」というような話題でも盛り上がりました。


彼は今、ジョージ・ルーカス教育財団が過去十年来取り組んできた仕事をベースにして、「国や学校がどうやってカリキュラム、テクノロジー、学習環境に教育的イノベーションを持ち込むことができるか」というテーマで「Education Nation」という本を執筆中だそうです。今から、読むのが楽しみです。


私も昨年、似たようなテーマで日本の高等教育とイノベーションについてのセミナーを企画し参加しました。アメリカにしても日本にしても、激動し続ける世界に対応するため、教育は常に改革を必要としてます。新しいテクノロジーやアイデアは次々に出てくるものですが、それらをしっかりとイノベーションとして根付かせて教育を着実に改善していくのは容易なことではないな、といつも痛感します。